京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

医学教育・国際化推進センターYan LUO助教、健康増進・行動学分野古川壽亮教授らは、関節リウマチに対する生物学的製剤の個別化治療効果を予測するための個別データメタ解析に基づいたモデルを開発し、その結果をJAMA Network Openに発表しました。

一般 2023年07月03日

医学教育・国際化推進センターLUO Yan助教、健康増進・行動学分野古川壽亮教授および船田哲客員研究員は、スイス・ベルン大学のGeorgia Salanti教授らのチームと共同で、関節リウマチにおいて個別データメタ解析に基づいた個別化治療予測モデルを構築しました。
これまでのエビデンスでは、個々の患者に対して従来の抗リウマチ薬に生物学的製剤を追加することの有効性が不明瞭であるため、不適切な薬が処方される場合があり、治療の遅延と不要な治療費増加につながっています。本研究では、certolizumabという生物学的製剤に関する無作為化比較試験を同定し、試験の個人データを用い、個別データメタ解析に基づいた新たな二段階モデルを開発しました。このモデルにより、各患者のベースライン特性から、生物学的製剤を追加した場合と追加しない場合の寛解率と比較し、個人ごとの治療効果を推定しました。その結果、certolizumabの追加投与は平均的に有効であるが、ベースライン重症度が高い患者や低い患者に対しては、その有効性が不確実であることが示唆されました。個人レベルの治療効果の推定値は、R shiny web applicationにてインタラクティブに提示され、治療選択に役立つことが期待されています。

 

論文は下記からオープンアクセスできます:

Luo Y, Chalkou K, Funada S, Salanti G, Furukawa TA. Estimating Patient-Specific Relative Benefit of Adding Biologics to Conventional Rheumatoid Arthritis Treatment: An Individual Participant Data Meta-Analysis. JAMA Netw Open. 2023;6(6):e2321398. doi:10.1001/jamanetworkopen.2023.21398
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2806709

 

R shiny web applicationは下記からアクセスできます:
https://cinema.ispm.unibe.ch/shinies/ra_ctz/