人材養成

遺伝カウンセラー人材養成の対象者

看護師、臨床検査技師、薬剤師など医療系の資格を持っていてもよいが、分子生物学・生命科学などの理系出身者、臨床心理士などの文系出身者を含め幅広いバックグラウンドをもつ学部卒業生および何らかの実務経験と問題意識をもった社会人を対象とする。

人材養成の目標

養成すべき人材像

遺伝医学・遺伝医療に関する豊かな知識をもち、カウンセリング・コミュニケーション技術、医療倫理の基本的姿勢(常に患者サイドに立ち、心理的に支援し、患者の自律を促すことができる)について十分な実習に裏付けられ、チーム医療における医療スタッフの一員としての遺伝カウンセリングを行うことができるものを養成する。結果的に今後のゲノム先端医療を推進し、最終的には患者に還元されることを目指す。

対象者の到達レベル

「認定遺伝カウンセラー制度」による「認定遺伝カウンセラー」試験に合格できる知識レベルと実習経験を積むことを最低限とし、それを十分に上回るレベルを目指す。
専門科目(講義)については筆記試験で到達度を確認する。総論と頻度の高い遺伝性疾患の知識については、臨床遺伝専門医と同程度を目指す。演習・実習については個別指導とし、個別ケースに対する実習記録の作成、指導者による添削で、レベルを確認する。技術レベル・態度レベルについては臨床遺伝専門医以上のレベルを目指す。
これらには下記の事項を含む。
【1】生命倫理や心理学など患者を社会的・心理的に支援できる専門的知識及び姿勢
【2】カウンセリング・コミュニケーションスキル
【3】プロフェッショナルならびに指導者としての自覚

社会健康医学修士(専門職)(Master of Public Health)の取得。

遺伝カウンセラーに期待される役割

包括的遺伝医療の現場で、チーム医療として高度な遺伝カウンセリングを行う人材として、遺伝医療を求める患者・家族に対する全人的な幅広いサポートを提供することができる。特に遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)を代表とする「家族性腫瘍」の領域、新型出生前診断(NIPT)が話題となっている周産期領域、次世代シーケンサを用いた全エクソーム解析や全ゲノム解析などを用いてこれまで原因不明であった疾患の病因が次々と明らかになってきている難病の領域など、遺伝子解析技術の進歩をより適切に臨床遺伝医療の現場応用できるようにするために、遺伝カウンセラーの役割は大きい。

次世代シーケンサによる全ゲノム解析は、原因不明の難病患者に対してだけでなく、一般人も対象となりつつある。病院の診察券に個人のゲノム情報が埋め込まれ、新しい研究結果からより正確な疾患リスク評価が行われる「パーソナルゲノム」の時代が来ると思われる。遺伝情報の臨床応用に対する爆発的な需要の増大に対応することが急務となる。全ゲノム解析の前のインフォームド・コンセント、個人情報の確実な保護、介入による予防効果に関する情報の提供、多数のSNP解析の組み合わせによるリスク判定の正確さ、偶発的所見(Incidental Findings)への対応などが特に重要となっている。これらにおいても専門的遺伝医学の素養を身につけた遺伝カウンセラーが中心的な役割を果たすことが期待される。

いわゆる「遺伝子検査ビジネス」として、遺伝学的知識や技術基盤が不十分、責任体制が不明瞭にも関わらず臨床的意義が確立されていない遺伝学的検査を行うとする医療機関や企業が増加し、社会的混乱をきたしている。これらの結果に当惑した市民が検査ビジネスの結果を遺伝医療の現場に持ち込んだとき、遺伝カウンセラーが、結果の信用性を含めたわかりやすい情報提供をすることができる。

遺伝医学や遺伝医療の進歩は著しいが、日本では遺伝学に関する教育が初等・中等教育の段階から著しく遅れているため、多くの国民が遺伝に関する偏見や差別意識をもっている。ヒトの遺伝情報の多様性を正確に理解し、社会全体として疾病や障がいを受け入れる豊かな風土を育てていくためには、「遺伝リテラシー教育」が重要で、遺伝カウンセラーはその重要な担い手となることができる。

京都大学遺伝カウンセラーコース出身者の就職先

大学病院

  • 京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
  • 大阪大学医学部附属病院遺伝子診療部
  • 兵庫医科大学病院臨床遺伝部・遺伝子医療部
  • 鳥取大学医学部附属病院遺伝子診療科
  • 信州大学医学部附属病院遺伝子医療研究センター
  • 北海道大学病院臨床遺伝子診療部
  • 浜松医科大学医学部附属病院遺伝子診療部
  • 昭和大学乳腺外科
  • 名古屋大学医学部附属病院遺伝カウンセリング室
  • 兵庫医科大学病院産科婦人科
  • 慶應義塾大学病院臨床遺伝学センター
  • 京都府立医科大学病院遺伝子診療部
  • 慈恵医科大学
  • 関西医科大学附属病院臨床遺伝センター
  • 神戸大学医学部附属病院遺伝子診療部
  • 東京医科歯科大学医学部附属病院腫瘍センター・遺伝子診療科
  • 筑波大学附属病院遺伝診療部
  • 岡山大学病院臨床遺伝子診療科
  • 大阪市立大学附属病院ゲノム医療センター
  • 滋賀医科大学附属病院臨床遺伝相談科
  • 東京医科大学病院遺伝子診療センター
  • 東京医科歯科大学腫瘍医科学講座
  • 東京大学医学部附属病院ゲノム診療部

国立研究所・病院

  • 国立循環器病研究センター病院
  • 国立病院機構宇多野病院 関西脳神経筋センター
  • 国立がん研究センター病院
  • 国立がん研究センター研究所ゲノム生物学研究分野
  • 国立がん研究センター東病院遺伝子診療部門
  • 国立成育医療研究センター病院 周産期・母性診療センター
  • 国立成育医療研究センター病院 薬剤部
  • 国立成育医療研究センター病院 臨床研究センター
  • 国立成育医療研究センター病院 開発推進部
  • 理化学研究所 生命機能科学研究センター
  • 先端医療振興財団 先端医療センター病院
  • 国立病院機構名古屋医療センター遺伝診療科

公立研究所・公立病院・民間病院・NPO等

  • 栃木県立がんセンターゲノムセンター
  • 埼玉県立がんセンター腫瘍診断・予防科
  • 千葉県立こども病院遺伝科
  • 愛知県心身障害者コロニー
  • 大阪府立母子保健総合医療センター
  • 神戸市立医療センター中央市民病院
  • 神戸市立神戸アイセンター病院
  • 京都市立病院
  • 東京都立多摩総合医療センター
  • 滋賀県立小児保健医療センター
  • 加古川市立病院遺伝子診療部
  • 京都桂病院腫瘍内科
  • 特定非営利活動法人 遺伝カウンセリング・ジャパン
  • 京都第一赤十字病院
  • 兵庫県立こども病院
  • 公益財団法人がん研究会 有明病院
  • 日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院
  • 大阪国際がんセンター
  • 愛知県がんセンター病院 リスク評価センター
  • 国立病院機構名古屋医療センター

不妊クリニック・産科クリニック

  • IVF大阪クリニック
  • IVFなんばクリニック
  • 足立病院(京都市)
  • 小阪産病院(東大阪市)
  • 浅田レディースクリニック(名古屋市)
  • 杉浦ウィメンズクリニック(東京都)

臨床検査会社

  • ラボコープ・ジャパン合同会社
  • ジェンザイム・ジャパン株式会社
  • Amicus Therapeutics株式会社
  • コニカミノルタプレシジョンメディシンジャパン株式会社

進学

  • 京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻後期博士課程
  • 京都大学大学院医学研究科医学専攻博士課程
  • 京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻後期博士課程