健康増進・行動学分野 宋龍平客員研究員らの研究チームが、プライマリケアにおける有害飲酒への1分未満の「超短時間介入」の効果を検証した結果をBMJ誌に発表しました。
宋龍平 健康増進・行動学分野客員研究員と古川壽亮 成長戦略本部特定教授らの研究グループは、プライマリケアにおける有害飲酒患者への「超短時間介入」の効果を検証し、その結果をBMJ誌に発表しました。
有害飲酒は世界的に年間300万人の死亡と疾病負荷の5.1%に寄与するとされる公衆衛生上の重大な問題で、プライマリケア患者の約20%に認められます。従来の簡易介入(ブリーフ・インターベンション)は効果的とされていますが、15–60分かかることもあって臨床現場での実施率は低く、より簡潔で実用的な介入方法が求められていました。
このクラスターランダム化比較試験では、日本の内科診療所40施設でスクリーニングされた1,133名の有害飲酒患者を対象に、医師による1分未満の超短時間簡易介入(スクリーニング + 簡潔な口頭フィードバック + 情報パンフレット提供)の効果を簡易評価のみの対照群と比較検証しました。
結果、超短時間介入群の方が対照群よりも24週後の純アルコール摂取量が少ないことを支持する結果は得られませんでした(介入群1,046.9g/4週、対照群1,019.0g/4週、差27.8g/4週、P=0.75)。本研究は、プライマリケアにおける効果的なアルコール問題介入戦略に関して、再検討が必要である可能性を示唆しています。
本研究成果は、国際学術誌「BMJ」に、2025年8月12日(月)にオンライン掲載されました。
論文情報
Ryuhei So, Kazuya Kariyama, Shunsuke Oyamada, et al. Effectiveness of screening and ultra-brief intervention for hazardous drinking in primary care: pragmatic cluster randomised controlled trial. BMJ 2025;390:e083985.