活動報告:GIFT奨学金プログラムによるWHO/WPRO等への訪問
2025年5月28日からの1週間、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻(京大SPH)の専門職学位課程および博士課程の学生・教員計9名が、フィリピン・マニラを訪問し、世界保健機関西太平洋地域事務局(WHO/WPRO)をはじめとする国際機関等を訪れました。
本訪問は、今年度から新たに開始された「GIFT奨学金プログラム(Global Immersion for Future Talent Program)」の一環として実施されました。このプログラムは、公衆衛生分野での国際的なキャリア形成を志す京大SPHの学生に対し、国際機関で活躍する専門家との対話や、自身の研究発表の機会を通じて、グローバルな視野を養うことを目的としています。
5月29日には、WHOフィリピン国事務所(WHO Philippines Country Office)を訪問しました。同事務所およびフィリピン保健省の職員より、同国の公的健康保険制度「PhilHealth」の制度改善に向けた取り組みや、メンタルヘルス分野における課題と対応策について説明を受け、活発な意見交換を行いました。
午後には、WHOフィリピン国事務所の仲介により、フィリピン国立高齢者健康センター(National Center for Geriatric Health, NCGH)を訪問し、高齢者医療に特化した同施設でのサービス提供の実際について学びました。現場の医師からの説明に加え、施設内の見学も行い、フィリピンにおける高齢者医療の現状について理解を深めました。
5月30日には、JICAフィリピン事務所を訪問し、日本の政府開発援助(ODA)による同国への支援活動について説明を受けました。特に、新型コロナウイルス感染症対策支援や、日本企業との官民連携による緊急医療支援体制の構築支援など、幅広い分野における支援の取り組みについて学ぶ機会となりました。
6月2日には、WHO西太平洋地域事務局(WHO/WPRO)を訪問し、アジア・太平洋地域30か国以上を対象とした「Healthy Ageing(健康的な高齢化)」「デジタルヘルス」「緊急災害対応」など、多岐にわたる活動の現状や戦略について説明を受けました。参加者は、国際保健分野における地域事務局の役割や実務についての理解を深めました。
今回の訪問を通じて得られた知見は、今後の研究や教育活動に活かされるとともに、京大SPHの学生・教員が、グローバルな視野を持って社会課題の解決に貢献する人材へと成長していくための大きな一歩となりました。