活動報告: 京都大学にて「高齢者に優しく環境的に持続可能な都市とコミュニティ (AFES)」ワークショップを開催
2025年3月11日から13日にかけて、「高齢者に優しく環境的に持続可能な都市とコミュニティ(AFES Kyoto)」ワークショップが京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻(KUSPH)にて開催されました。本ワークショップは、千葉大学予防医学センター健康まちづくり共同研究部門の支援を受け、国内外の専門家や自治体関係者が一堂に会し、知見を共有しながら持続可能な都市づくりについて議論を深める貴重な機会となりました。
今回のワークショップでは、Dr. Gary Haq(ヨーク大学)、Dr. Andy Hong(ユタ大学)、およびWHO西太平洋地域事務局をゲストスピーカーとして迎え、多様な研究者や自治体関係者、実務者が参加しました。本イベントでは、高齢者に優しい都市づくりと環境的に持続可能な都市計画の統合戦略について、意見交換と協働が行われました。
1日目: 基調講演とスコーピングレビュー
ワークショップは、京都大学の河野文子先生による開会の挨拶と、参加者同士のアイスブレイクセッションから始まりました。午前中の基調講演では、WHO西太平洋地域事務局、ヨーク大学、ユタ大学の専門家が登壇し、世界各国における高齢者にやさしい都市と環境に配慮したまちづくりの最新動向について発表しました。また、日本国内の取り組みに関する講演も行われました。
午後のセッションでは、中国(清華大学)、韓国(ソウル大学)、日本(京都大学)の専門家がそれぞれの国の状況について発表し、各国の事例や課題について深く掘り下げました。その後のワールドカフェ形式のディスカッションでは、参加者がグループに分かれ、気候変動に適応しながら高齢者にやさしい都市をどのようにデザインできるかについて活発な議論が交わされました。
2日目:多様なステークホルダーの協力と政策提言
2日目は、自治体や企業、研究機関がどのように協力し、持続可能な都市づくりを実現していくかに焦点を当てました。まず、日本国内の事例として、秋田市や神奈川県の取り組みが紹介され、続いて、ヤマハ発動機株式会社やアミタホールディングス株式会社による環境やモビリティに関する持続可能な取り組みが行われました。
当日のワールドカフェ・ディスカッションでは、WHOの代表者、自治体関係者、研究者、企業関係者、学生など、多様な参加者が一堂に会し、政策の実現における課題やセクター横断的な連携のあり方について意見交換を行いました。特に、イギリス、アメリカ、アジアの事例を参考にしながら、それぞれの国や地域での課題と可能性について活発な議論が行われました。最後には、持続可能で高齢者にやさしい都市づくりを推進するための政策提言がまとめられました。
3日目:奈良・神戸でのフィールドワーク
最終日は、実際の現場を訪れるフィールドワークが行われました。まず、奈良県王寺町にてグリーンスローモビリティ(GSM)の実践事例を視察し、環境負荷の少ない移動手段がどのように高齢者の生活の質を向上させるかを学びました。午後には神戸市のリサイクルセンターを訪問し、持続可能な都市づくりにおける廃棄物管理の取り組みについて理解を深めました。こうした現場での学びを通じて、ワークショップで議論した内容が具体的にどのように実践されているのかを体感する貴重な機会となりました。
今回のワークショップを通じて、国際的なネットワークが構築され、持続可能な都市づくりに向けた協力の基盤が築かれました。今後は、このネットワークを活かし、政策提言の実現や共同研究を推進しながら、より包括的で持続可能な都市・コミュニティの実現に向けた取り組みを進めていく予定です。