京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

活動報告 京都大学SPH国際レクチャー: 心臓突然死の再定義: POST SCD研究からの知見

一般 2024年04月23日

2024年2月20日午後、京都大学SPHで「心臓突然死の再定義:POST SCD 研究からの知見」をテーマに国際レクチャーが開催されました。カリフォルニア大学サンフランシスコ校循環器内科のMurray Davis Endowed Professor Cardiac Electrophysiology SectionのZian H. Tseng教授をゲストスピーカーとしてお招きし、京都大学SPHからは約20名の学生と教員が参加し、会場とZOOMを利用したハイブリッド形式で行われました。今回の国際レクチャーの目的は、米国におけるPOST SCD研究から得られた知見を学び、長期的な視点から、心臓突然死の原因を正確に特定することでした。

国際レクチャーの冒頭で、石見教授から、Tseng教授とは、国際学会で心臓突然死の予防戦略について議論した際に知り合ったと紹介されました。Tseng教授は、心臓突然死に関する問題を含め、様々なテーマで多くの論文を執筆されています。

講演では、まず米国における心臓突然死の最近の動向をご説明いただきました。次に、POST SCD研究で得られた様々な心臓突然死の症例に基づいて、その原因と米国における疫学的背景についてご説明いただきました。POST SCD研究で得られた4,000以上の血液サンプルを保存し、SCDを発症した人とそうでない人を比較した研究では、様々な原因のうち、不整脈、化学物質のオーバードーズ、重症クモ膜下出血などがあることがわかってきました。

レクチャーの最後に、Tseng教授はまとめとして2つのポイントを述べました。ひとつは、原因の特定には剖検による正確な情報収集が重要であること、もうひとつは、心臓突然死は予防可能であり、予防には国民皆保険が重要であることです。

講演終了後の質疑応答では、学生から他の研究者との共同研究の進め方や、講演で紹介された研究成果のメカニズムについて質問がありました。

最後に石見教授は、「心臓突然死の記録は氷山の一角であることを肝に銘じることが重要です。エビデンスを積み上げていくために、今後の共同研究に期待しますとレクチャーを締めくくりました。