京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

国民生活基礎調査匿名データ 解析実習を行いました(2023年度)

在校生 2024年04月01日

京大SPHの講義「健康情報学II」にて、国民生活基礎調査匿名データの解析実習を行いました。匿名データとは、行政機関等が統計法に基づいて実施した統計調査によって集められた調査票情報を、特定の個人又は法人その他の団体の識別ができないように加工したものです。学術研究及び教育の発展に資すると認められる場合は、一般の方も、利用することができます。今回は、教育目的として、厚生労働省に申出を行い、健康情報学IIにて、匿名データを利用した解析実習を行いました。

【講義名】
・健康情報学II(科目責任者 健康情報学・高橋由光)

【日時・場所】
・2023/12/22(金)13:15-16:30
・京大医学部構内G棟3F演習室

【概要】
・統計法および国連の公的統計の基本原則を中心に、公的統計データの二次的利用の規制の必要性および推進のバランス、調査対象の秘密保護について講義を行った。
・国民生活基礎調査(平成22年)匿名データB(世帯票・健康票・所得票・貯蓄票)を用いて、調査票、データレイアウト及び符号表の理解、csvファイルの読込、JMPを用いた記述統計・ロジスティック回帰分析等を行った。
・1名につきスタンドアロンPC 1台を準備した。

【参加人数】
・10名(教員、ティーチングアシスタント(TA)含む)

【参考情報】
厚生労働省 匿名データの提供について
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itaku/tokumei.html
Shibuya, et al. BMJ. 2002 Jan 5;324:16.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11777798/

【講義資料・過去の講義】
講義資料ハンズオンのPDFは過去の講義をご覧ください
2022年度
2021年度
2020年度(PDFあり)
2019年度(PDFあり)
2018年度(PDFあり)
2017年度(PDFあり)
2016年度

【参加者の声】
注:「JMP」は統計ソフトの名称
・国民生活基礎調査という貴重で膨大なデータを実際に使用して解析できるという貴重な機会に恵まれ、たいへん有意義な時間となりました。別の講義でJMPを使用したことがありましたが、JMPに対する理解もより深まりました。国民生活基礎調査のデータ利用の方法を学ぶだけではなく、私たちの生活をより良くするためにもこういったデータが存在する意義や重要さを再認識する機会にもなりました。

・国民基礎調査ほどの大規模なデータを扱った解析を行ったことがなかったので、データのマネジメントの方法も含めとても勉強になりました。主観的健康観の他にも介護や世帯、子育ての状況など詳細なデータがあり、様々な研究活用ができる可能性を感じました。

・国民生活調査の統計データには興味があったので,実際に中身を見ることができ,解析の手順を学ぶことができたのは貴重な経験でした.このデータは多くの人の協力と努力のもとに集積され整備されているものだと強く感じました.有意義な利用をさせていただきたいです。

・実習を通じて、データハンドリングと統計解析のスキルが向上し、実際の「匿名データ」を使用することによって実践的な経験を得ることができた。

・最初に論文を読んで、その中の結果を与えられたデータをJMPを用いて算出するという形式だったので、何をどうすれば、どういう結果が出るのか理解しやすかったです。また、データをカテゴリ化したり、細かい作業も多く発生するので、解析の下準備に非常に時間がかかるというのも体験できてよかったです。なかなか、このようなデータを扱う事はできないので、非常に勉強になりました。

・実際に匿名データを使ってJMPの操作を経験できたことは非常に貴重でした。解析の作業は初めてでしたが、自分で手を動かしながら一つ一つのステップを確認できたのでイメージが掴みやすく、解析の入り口として今回の実習は非常に有難かったです。 調査結果やデータを持っていてもそれを処理し分析できる力がなければ何も得られないため、実践で使える解析スキルを身につけられるよう、これからよく勉強し理解を深めたいと思いました。

・匿名データを実際に自身が研究で使用する経験をする前に、こういった授業の形で、データ使用の目的や手続きのプロセス、コスト等を知ることができ、またどういった形で手元にきて、実際に使用し始めるまでにどういったことが必要なのかを具体的に知ることができ、とてもよかったです。個人的には是非今後、他の公開されている統計についても同様の体験をする機会があると嬉しいなと思いました。

【参加者の声】n=7

以上