環境生態学(東南アジア地域研究研究所)
個々の病原体とそれによる感染症に関連する種々の要因がどのように
相関するかということを生態学的アプローチによって解析します。
- 教 授/山崎 渉
- Wataru Yamazaki, D.V.M., Ph.D., Professor
概要
- 東南アジア地域研究研究所 環境共生研究部門
- 教 授 : 山崎 渉
- TEL : 075-753-9618
- FAX : 075-761-2701
- e-mail:
- URL: https://kyoto.cseas.kyoto-u.ac.jp/organization/staff-2/yamazaki-wataru/(東南アジア地域研究研究所)
環境中には様々な病原微生物が存在しています。動物を含む環境中の様々な病原微生物によって感染症が引き起こされると同時に、感染症の流行は様々な影響を社会に与え、変容をもたらします。これらの病原体が動物の体内を含む環境中でどのようにして発生したのか、環境中でどのような生態をとっているのかは不明な点が多いです。私達は個々の病原微生物とそれらが引き起こす感染症に関連する様々な要因がどのように相関するかを生態学的アプローチによって解析しています。
研究・教育について
環境中に存在する様々な病原微生物の中でも、動物が保有する微生物はヒトの健康に影響を与える特に重要なリスクファクターです。私達人類は約1万年前に野生の牛を家畜化しました。野生動物の家畜化により、良質な動物性タンパク質の供給、労役の軽減など、私達は多くの恩恵を得てきました。一方で、牛が腸内に健康保菌している腸管出血性大腸菌O157は牛肉の摂食を介して、ヒトに健康被害を与えます。インドのガンジス川流域の風土病であったコレラは19世紀に加速した帝国主義・グローバル化に伴い、世界流行を引き起こしました。欧州ではコレラ対策として上下水道の整備や、微生物学の知見の集積が促進されたりした結果、水系感染症の制御が進みました。現在、私達はアジア・アフリカ・欧州の研究者と連携して、主にヒト腸管感染症・動物感染症に関する教育・研究を実施しています。国際基準を満たす信頼性の高い検査法を新開発し、疫学調査に応用することで、様々な病原微生物の環境生態の解明や感染症の制御、食品の安全性確保などに貢献したいと考えています。感染症が引き起こす社会変容・歴史的な影響についても学際的研究を通してアプローチして行きます。
研究業績
- Matsumura, Y., Yamazaki, W., Noguchi, T., Yamamoto, M., Nagao, M. 2023. Analytical and clinical performances of seven direct detection assays for SARS-CoV-2. Journal of Clinical Virology Plus 3(1) 100138.
- Yamazaki, Y., Thongchankaew-Seo, U., Yamazaki, W. 2022. Very low likelihood that cultivated oysters are a vehicle for SARS-CoV-2: 2021–2022 seasonal survey at supermarkets in Kyoto, Japan. Heliyon 8(10) e10864.
- Yamazaki, W., Matsumura, Y., Thongchankaew-Seo, U., Yamazaki, Y., Nagao, M. 2021. Development of a point-of-care test to detect SARS-CoV-2 from saliva which combines a simple RNA extraction method with colorimetric reverse transcription loop-mediated isothermal amplification detection. Journal of Clinical Virology 136(3) 104760.
- Makino R, Yamazaki Y, Nagao K, Apego F V, Mekata H, Yamazaki W. 2020. Application of an improved micro-amount of virion enrichment technique (MiVET) for the detection of avian influenza A virus in spiked chicken meat samples. 2020. Food and Environmental Virology 12(2) 167-173.
- Yamazaki, W., Makino, R., Nagao, K., Mekata, H., Tsukamoto, K. 2019. New micro-amount of virion enrichment technique (MiVET) to detect influenza A virus in the duck feces. Transboundary Emerging Diseases 66(1) 341-348.
タンザニアでのフィールドワーク風景