京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

社会疫学

「健康の社会的決定要因」についての疫学研究をすすめ
「だれもが自然と健康になれる社会づくり」を目指しています。

  • 教授:近藤 尚己

概要

  • 社会疫学分野
  • 教授:近藤 尚己
  • 准教授:井上 浩輔、講師:長谷田 真帆、助教:上野 恵子、本多 由起子、喜屋武 享
  • TEL:075-753-4355
  • Email:contact@socepi.med.kyoto-u.ac.jp
  • URL:https://socepi.med.kyoto-u.ac.jp/

当分野について

人々の健康は、学歴や所得、職業、人とのつながりといった社会的な状況の影響を受けます。また、国や地域の政策や文化、景気動向や所得格差といった社会環境の影響も受けます。そのため「適度に運動しよう」「たばこはやめよう」といった個人の理性的な行動を促すアプローチだけでは人々の健康を護ることはできません。社会疫学はこれら「健康の社会的決定要因」について、主に疫学の手法を用いて解明し、そこから生じる健康格差を制御することで、「だれもが自然と健康になれる」公正な社会づくりを目指しています。

社会研究・教育について

研究: 2020年9月に着任した近藤を中心に、以下の研究に取り組んでいます。

  1. 日本老年学的評価研究(JAGES)・・・全国約100自治体30万人、海外2か国が参加する高齢者の健康の社会的決定要因と地域包括ケアに関する国際共同研究。
  2. 「社会的処方」の研究・・・「せっかく治療した患者さんを病気にした元の環境に戻さない。」そのために、医療と地域福祉とが密に連携して、地域共生社会づくりに参画できる仕組みづくりを目指しています。患者の生活課題をスクリーニングする調査票開発、生活保護受給者の健康管理支援システムの開発など。
  3. 企業や自治体との「楽しい」共同研究・・・人の感性に寄り添い「自然と健康づくりに取り組める社会サービス」で健康格差の是正を。去年の自分と戦う職域健診「健診戦」(博報堂)・福祉事務所のケースワーカーを支援するデータシステム開発(北日本コンピューターサービス)・オンライン健康相談で妊娠・子育てに伴走(キッズパブリック)・健康アプリデータを用いた健康経営の効果検証(リンクアンドコミュニケーション・ルネサンスなど)など。
  4. 社会疫学の因果推論・・・変わりゆく社会や政策、保健サービスの効果、個人の属性によって異なる効果を正確に推計するための統計手法の研究をしています。
  5. プラネタリーヘルス学:人間だけが健康になる社会を目指すのではなく、地球・生き物・ひと―「三方よし」のポストコロナ社会づくりを目指します。
    教育:「社会疫学」「社会疫学研究法」「地域保健活動論」を開講しています。

 

▲健康格差対策の実践書

認知症を軸に、共生社会づくりの理論と実践について解説

研究業績(抜粋:全リストはこちら:https://scholar.google.com/citations?user=ESq4XuAAAAAJ&hl=en

  • Haseda M, Takagi D, Stickley A, Kondo K, Kondo N. Effectiveness of a community organizing intervention on mortality and its equity among older residents in Japan: A JAGES quasi-experimental study. Health Place. 2022;74:102764.
  • Inoue K, Athey S, Tsugawa Y. Machine-learning-based high-benefit approach versus conventional high-risk approach in blood pressure management. I Int J Epidemiol. 2023;52:1243-1256.
  • Nishio M, Haseda M, Inoue K, Saito M, Kondo N. Measuring functional ability in Healthy Ageing: testing its validity using Japanese nationwide longitudinal data. Age Ageing. 2024;53:afad224.
  • Sato K, Noguchi H, Inoue K, Kawachi I, Kondo N. Retirement and cardiovascular disease: a longitudinal study in 35 countries. Int J Epidemiol. 2023;52:1047-1059.
  • Ishimura N, Inoue K, Maruyama S, Nakamura S, Kondo N. Income Level and Impaired Kidney Function Among Working Adults in Japan. JAMA Health Forum. 2024;5:e235445.