京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

環境生態学(東南アジア研究所)

個々の病原体とそれによる感染症に関連する種々の要因がどのように
相関するかということを生態学的アプローチによって解析します。

  • 教 授/西渕 光昭
  • Mitsuaki Nishibuchi,
    Ph.D.Professor

概要

  • 東南アジア研究所 統合地域研究研究部門
  • 教 授 : 西渕 光昭
  • TEL : 075-753-4442
  • FAX : 075-753-7350
  • e-mail:
  • URL: http://www.cseas.kyoto-u.ac.jp(東南アジア研究所)

環境中に存在し、ヒトの健康に影響を与える重要なリスクファクターの中に病原微生物があります。環境中の病原微生物によって感染症が発生するプロセスには様々な他の要因が影響を及ぼします。自然環境中の要因は病原微生物の生存・増殖に影響し、ヒトの生活環境では、社会・経済的要因が病原体とヒトの接触の機会、個人およびコミュニティーレベルでの抵抗性などに影響を与え、感染症の発生を大きく左右するのです。またこれらの要因どうしの相互関係も考えられます。私たちは個々の病原体とそれによる感染症に関連する種々の要因がどのように相関するかということを生態学的アプローチによって解析します。

研究・教育について

医療の質と経済性について、即ち、医療の経済・政策、経営、安全・質管理に関して、以下の如く研感染症の発生・伝播を理解するために、病原体の生息する自然環境、ヒトの作り出す人為的環境、感染を受ける宿主であるヒトの抵抗性などの様々な要因を総合的に解析するアプローチを習得することを目指した教育を行っています。
タイ、マレーシア、ベトナム、インド、バングラデッシュ、中国などで、現地の研究者と共同で腸管感染症の研究を実施しています。コレラ、腸炎ビブリオ、大腸菌O157などの病原細菌を対象にして、環境や患者からの病原菌の分離・解析を行い、その結果と種々の環境データおよび臨床データとの総合的比較解析に基づき、感染症の発生に影響する要因を明らかにします。
また、特定の国や地域に限らず国境を超えて広がる感染症について、いろいろな地域での分離菌について表現形質および遺伝学的性状をベースにした詳細な比較解析を行い、分離菌の系統を明らかにすることによって感染症の疫学を研究しています。この結果とヒトや物の国際的移動との関係を調べることにより感染症の伝播に影響を与える要因を明らかにします。
例えば、アジアの環境中の病原菌が食品を汚染した場合、それは現地の人々のリスクファクターとなる一方で、食品のグローバルな流通によって世界の他地域の人々にとっても同様の驚異になります。しかし、地域によって感染症の発生の様子がずいぶん異なる場合があります。これらをも視野に入れた総合的な研究によって、ミクロな病原菌の解析をマクロな感染症研究に発展させることができるのです。

研究業績

  1. Vuddhakul, V., S. Soboon, W. Sunghiran, S. Kaewpiboon, A. Chowdhury, M. Ishibashi, Y. Nakaguchi, and M. Nishibuchi. 2006. Distribution of virulent and pandemic strains of Vibrio parahaemolyticus in three molluscan shellfish species (Meretrix meretrix, Perna viridis, and Anadara granosa) and their association with foodborne disease in southern Thailand. J. Food. Prot. 69(11):2615-2620.
  2. Matsuda, F., S. Ishimura, Y. Wagatsuma, T. Higashi, T. Hayashi, A. S. Faruque, D. A. Sack, and M. Nishibuchi. 2007. Prediction of epidemic cholera due to Vibrio cholerae O1 in children younger than 10 years using climate data in Bangladesh. Epidemiol. Infect. 136:73-79.
  3. Koitabashi, T., S. Cui, K. Muhammad, and M. Nishibuchi. 2008. Isolation and characterization of the Shiga toxin gene (stx)-bearing Escherichia coli O157 and non-O157 from retail meats in Shandong Province, China and characterization of the O157-derived stx2 phages. J. Food Prot. 71(4):706-713.

授業風景

2009年8月インドネシアのスマトラ島パダンのアンダラス大学医学部・薬学部と学術交流協定を締結し、タイ、マレーシアの共同研究者も参加して、ジョイント・ワークショップを開催しました。当地は翌月には大きな地震で被害を受けましたが、現在はみんな元気に協力して共同研究を展開しています。