京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

2021年度の卒業生の声

 

小泉 志保
健康情報学分野

 私は医学翻訳者として7年ほど臨床研究の翻訳や治験関連文書に携わってきました。それなりに充実した生活を送っていたものの、文書を翻訳するだけでは次第に飽き足らなくなりました。付け焼刃の知識ではなく、体系的に公衆衛生を学び、自分で研究を実践してみたい気持ちが強くなり、京大SPHの門を叩きました。当時、製薬業界の機械翻訳に関する調査を行っていたこともあり、一般向けではなく、論文の作成者や読み手など、医学・医療専門家相互のコミュニケーションに興味を持ち健康情報学分野を選択しました。入学当初は、医療従事者ではない自分がいることは場違いかと思いましたが、そんな考えはすぐに杞憂に終わり、多彩なバックグラウンドをもつ院生が在籍し、授業中もフラットに意見を言い合い発表を行う場は、まさに異種格闘技のようで刺激的な毎日でした。授業では、医療統計や疫学をはじめとする基礎知識だけでなく、行動科学や医療倫理学など、系統的かつ学際的に幅広い分野に触れることができました。特に所属する健康情報学では、先生方から課題研究に関する専門的な知識を熱心にご教授いただくこと
ができました。また、授業外では、入学時にCOVID-19パンデミックが発生したため、学内で交流する機会が少ない私たち新入生のために、研究室の先輩方が定期的に悩み相談会をオンラインで開催していただきました。授業や研究で困っていることだけでなく、日々の生活の悩みまで相談させていただく機会を設けてくださったことで、比較的通常と変わらない学業生活を送ることができたことに感謝しています。一年目は講義、二年目は課題研究活動に明け暮れ、とにかくあっという間の2年間でしたが、公衆衛生学を包括的に学んだだけでなく、研究を実践し、自分の専門領域とも言えるテーマを作ることができたことで、今まで
のバックグラウンド+αの能力が備わったと思っています。京大SPHでは、マルチな能力をさらに広げられますし、専門領域をさらに深堀りできる懐の深さをもっています。ご興味のある方は、ぜひ京大SPHのサイトを覗いてみてください。SPHが皆様の世界をさらに広げる一助となることを願っております。