廣瀬 昌博(Masahiro HIROSE)
現在のご所属機関、部署
島根大学 医学部 地域医療政策学講座
SPH に感謝
京都大学にSchool of Public Health(SPH) が設置されてから16年、同窓生が各方面で活躍されていることを伺い、喜ばしく思います。
わたくしは、1985年医師免許取得後、出身大学の外科に所属し、15年ほど地域医療への貢献との大義で、教授の鶴の一声で各地を転々と致しました。しかし、同じ医局の医師と比べ、専門医等の取得に時間を要するなど、わが国の医療の根幹となるシステムが十分でないことを実感し、2000年SPH博士課程1期生として入学しました。翌々年には京都大学医学部附属病院安全管理室に職を得、医療安全を通じて医療管理学やpublic healthを学ぶことができました。2005年大学院修了後、安倍フェローにより、Harvard School of Public Healthでの研究の機会を戴きました。
留学は1年ほどでしたが2008年「縁」あって島根大学医学部附属病院病院医学教育センターに着任しました。九州大学第二外科元教授の井口 潔先生の論文で、「病院医学」とは「臨床医学」を指し、アメリカでは、「臨床医学」と「基礎医学」との調和によって医療や医学が発展してきたもので、わが国の医学・臨床教育にはそのバランスが足りないことを指摘しています。
数年前から、厚生労働省は地域包括ケアシステムの構築を推進していますが、文部科学省未来医療研究人材養成拠点形成事業に島根大学の「地方と都会の大学連携ライフイノベーション」が選定され、リサーチマインドを持った総合診療医の養成に努めています。また、地域医療政策学講座を主宰するにあたり、SPH入学前に今中雄一教授の論文等で眼にした「医療の質」を具現化するため、SPHマインドを後進に示し、公平で公正、質の高い、安全な医療システムの再構築を考えているところです。
このような立場になれましたのも、今中教授をはじめSPHの先生方のお蔭であると感謝致しております。あらためまして御礼申し上げます。