京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

医療疫学分野研究員の板谷崇央氏が、新型コロナウイルス感染症に関する無作為化比較試験の不安定性指数(Fragility index)を算出し、その結果をJAMA Network Openに公表しました。

一般 2022年12月23日

板谷研究員と山本教授らの研究グループは、2021年8月までに出版された新型コロナウイルス感染症に関する無作為化比較試験の論文を対象に、不安定性指数(Fragility index)を算出しました。

Fragility indexは、統計学的有意差が認められた臨床試験において、何例のイベントあり症例がイベントなし症例に変更されたら統計学的有意差が消失するか、という指数であり、臨床試験の頑健性を確認する指標の1つとされています。

本研究では、47件の新型コロナウイルス感染症に関する無作為化比較試験が同定されて、Fragility indexの中央値が4(四分位範囲:1-11)であることを明らかにしました。すなわち半数の試験では、4名の対象者がイベントあり症例からイベントなし症例となった場合、統計学的有意差が失われることを意味します。新型コロナウイルス感染症のパンデミック下においては、迅速さを重視した比較的小規模な臨床試験の結果が公表される傾向にあるものの、これらの臨床試験のそれぞれの結果に一喜一憂せずに臨床判断や政策決定を行う重要性が示唆されました。

論文は下記からオープンアクセスです。
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2790259