京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

健康増進・行動学分野の古川壽亮教授の Letter to the editorがJAMAに掲載されました。最近のJAMA論文でしばしば見られる、無作為割り付け比較試験で見られた群間差を、尺度のMID (Minimally Important Difference)で評価することの誤りを指摘しています。

一般 2020年02月18日

MID (Minimal Important Difference: MICD Minimal Clinically Important Differenceや MIC Minimal Clinical Changeとも呼ばれますが)は、患者にとって自覚可能な最低限の改善に相当するPROM (Patient-Reported Outcome Measure)上の得点差を言います。これは尺度ごとに変わってきます。一方、SWD (Smallest Worthwhile Difference)とは、二つの治療の間で、作用と副作用を勘案して最低これだけの差があればいずれかの治療を優先しようと考えられるような差を指します。従って、治療および尺度によって異なってきます。最近のJAMAの論文では両者を混同した論調がしばしば見られるため、今回の指摘を行いました。

Furukawa TA (2020) Measuring Clinical Importance in a Trial of Interventions for Mixed Urinary Incontinence. JAMA, 323, 479.