京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

産業厚生医学

慢性的なストレスは、多くの疾患の発病に関与しています。産業医学領域は、
ストレスや疲労からくる疾患予防の最前線の場でもあります。
私たちは、異分野の研究者と連携しながら、発病前の先行指標の探索、発病にいたる機序の解明、職場における発病予防の実践、産業保健関連法への提言など、
総合的なストレス研究を志しています。

  • 教授: 阪上 優
  • 教授: 阪上 優
  • Yu Sakagami,
    M.D., Ph.D., Professor, Chief Occupational Physician

概要

慢性的なストレスは、多くの疾患の発病に関与しています。産業保健は、ストレスや疲労からくる疾患の予防において、実社会の最前線の場でもあります。私たち産業厚生医学分野では、慢性的なストレスや蓄積された疲労から発病にいたる医学的な機序の解明、生物学的な指標の探索、新時代の総合的ストレス健診の確立などを目指して、臨床医学、脳科学、分子生物学、疫学、管理栄養学、心理学の各専門家と連携しながら、「新しい時代の総合的・網羅的ストレス研究」を志しています。抗ストレス医学においては、その源流から河口にいたるまでの一連の流れを学際的に捉えて解明し、社会的な予防法の樹立や施策に結実していく必要があります。「ストレス」を軸に、基礎から社会医学まで総合的に学びたい方、あるいは、特定の領域を極めたい方は、ぜひご相談ください。

研究・教育について

研究のポリシー

  • 真実を愛し、常に謙虚に真摯に学ぶこと
  • 学問領域や職種を超えて協力し、チームワークを大切にすること
  • 研究に協力してくださる皆さまに感謝の気持ちを持ち続けること
  • 研究成果を社会に還元できるように最善を尽くすこと
  • 教育方針・体制

    将来のキャリアパスを重視し、本人の希望に添いながら、研究テーマや指導教員を決めていきます。丁寧な相談体制を整えており、サマーカンファレンス、特別講義、週2回のカンファレンスも実施しています。研究成果の社会への発信と、キャリア形成の両面において、手厚い支援を行っていきます。

    代表的な研究領域

  • 感覚生理学を軸とした疲労の蓄積における生物学的先行指標の探索研究
  • 慢性的なストレス下におけるヒト唾液内の免疫学的・生物学的指標の探索研究
  • ストレスと腸脳相関について、特定疾患と特定遺伝子多型との関連性に関する研究
  • 長時間労働および高ストレス状態と、労働安全の関連性に関する研究
  • 労働安全衛生法における適正な産業医数に関しての法学・医学両面からみた妥当性に関する研究
  • 研究業績

    1. Takeuchi J, Sakagami Y. Belief in safety and ethicality associated with willingness to undergo electroconvulsive therapy among employees of universities and the other research institution. PCN Rep 2022 Sep;1(3):e40. doi: 10.1002/pcn5.40.
    2. Takeuchi J, Sakagami Y. Association between autistic tendency and mental health for studying abroad. Pediatr Int 2022 Jan;64(1):e14724. doi: 10.1111/ped.14724.
    3. Noda M, Sakagami Y, Tsujimoto H. The psychological process of workers who access mental health services: a qualitative study focused on workers’ sense of ‘me as a worker’. Asia Pac J Couns Psychother 2019;10(2):111-124. doi: 10.1080/21507686.2019.1634601.
    4. Takeuchi J, Sakagami Y. Stigma among international students is associated with knowledge of mental illness. Nagoya J Med Sci 2018 Aug;80(3):367-378. doi: 10.18999/nagjms.80.3.367.
    5. Sakagami Y. Qualitative job stress and ego aptitude in male scientific researchers. Work 2016 Nov 22;55(3):585-592. doi: 10.3233/WOR-162427.