京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

2015年度の卒業生の声

■専門職学位過程

社会健康医学系専攻の感想

右京芳文(医療統計学)

右京 芳文
医療統計学分野

 30代後半のある日,思い切って勤務先に相談し東京で仕事を継続しながら京大SPHの門をたたくことになりました。私が京大SPHを選択した理由は2つあります。1つ目は医療統計の専門家である佐藤先生の指導を受けたかったこと,2つ目は講義内容が実践的で社会人経験のある私でさえも魅力的に見えたことです。また,入学してみて実感しましたが,学生のバックグランウンドが多岐に渡っていることで多様性が生まれそのことで様々な価値観や考え方が創出される点は学生のみならず教員の方々にも良い刺激になっているのではないかと想像します。
 普段の仕事で遭遇する疑問も学問体系の中で理解するとまた違った側面が見えたり理解が深まったりします。こうした一歩進んだ理解や洞察により心が豊かになれる経験を京大SPHでぜひ体験して頂きたいです。講義だけではなく専門職学位課程では課題研究が課されている点も大きな特徴です。毎年2月に開催される課題研究発表会では,教員及び学生が全員参加し議論します。主査,副査の先生方の本気の突込みとそのディフェンスを1年目に見た私は正直驚いてしまいかなり自信がなくなりました。しかし,先生方の疑義は各研究領域で当然出てくるべき質問でありこれらに対応できないようでは修了後に困ると思います。こうした課題研究を2年目の約1年間しっかりと取り組める環境が京大SPHにはあります。2年間の課程を修了したらきっと何かが変わっているはずです。私は,指導教官の佐藤先生に人生を変えてもらえたと思っています。人生を変えたいあなた,ぜひ京大SPHに飛び込んでみてください。ただし,対岸にたどり着けるかどうかはあなたの努力次第です。相当な覚悟を持ってきてくださいね。

 

河野文子(健康情報学)

河野 文子
健康情報学分野

 私は京都大学に来る前は東京で会社員をしており医療分野での経験はありませんでしたが、医療のグローバル化や医療情報を効果的に患者に提供する為の仕組づくりに興味をいだき、SPHに入学しました。入学初日のガイダンスで、マレーシアの大学とのダブルディグリー制度が新設されたと聞き、人生の転機が訪れました。ぜひともチャレンジしなければと期待に胸をふくらませて志願し、2014年10月から2015年8月までの10か月間、クアラルンプールにあるマラヤ大学医学部社会予防医学科にて研究を中心とするマスターコースに留学させて頂きました。近年、退職後に海外に移住する日本人が増えており、マレーシアは人気国ナンバー1ですが、そこで暮らす日本人高齢者が現地の病院に通う際、どの様な困難や心配事があるかを調査し、マラヤ大学での修士論文を執筆しました。日本とマレーシアの公衆衛生大学院での授業スタイルは大きく違います。マレーシアの大学は授業は全て英語で実施され、個々のペースで研究力を伸ばす事に重点を置いた教育が行われています。この留学の経験から、医療制度は国によりだいぶ違うという事を肌で感じたのと同時に、日本の医療技術は国際化しているかもしれないが、医療制度は鎖国化しているにも等しく、もっとオープンに柔軟に国外に目を向けて良い面を取り入れていかなければないと感じました。また、その為のグローバル人材の養成は必須であると痛感しました。京都大学SPHはその様なグローバルな知見を広げる機会を提供している、日本でも先端を行く公衆衛生大学院だと思います。

目標を持ち、自分自身に合った学び方を

小野芙美子(知的財産経営学)

小野 芙美子
知的財産経営学分野

 私は、医療機器の技術開発業務を通して生じた課題から、医療技術評価に関する知識やスキルを身につけるという目標を達成するため、社会健康医学系専攻の門を叩きました。
 そして、臨床からライフサイエンス研究までを俯瞰するため、健康情報学教室にて1年間研究生として所属した後、専門職学位課程として知的財産経営学分野に進みました。また、医療技術評価の基盤となる知識や経験を身に付け、さらに社会に提言するという目的を達成するために、副専攻として政策のための科学ユニットへ挑戦し、結果として薬剤疫学教室の先生方のご指導の下、薬剤疫学研究へ取り組むという好機を得ることができました。
 このように、社会健康医学系専攻では、各自の目標に併せて様々な学び方をすることができます。取り組みたいという、意志があれば道は開かれています。
 専門職学位課程での2年間は、2つの研究に取り組むという、私にとってハードルの高い挑戦となりました。しかし、社会健康医学系専攻には、厳しくも温かくご指導してくださる先生方が沢山おられ、高い目標を達成することができる環境があります。同期からも多くの刺激を得ました。勉強のこと、研究のことに関して何度も議論し、切磋琢磨し互いに成長できたと感じています。
 社会健康医学系専攻での学びは、私にとって何ものにも代えがたい経験であり、素晴らしい先生方、同期との出会いは、今後の人生においてずっと宝になると信じています。

 

大林由香里(社会疫学)

大林 由香里
医学研究科 社会疫学分野

 学部生時代、人類学の先生のもとでフィールド調査をしていましたが、データの客観性や質的研究法を補完できるような分析手法を学びたくて、非医療系ながらSPHの社会疫学研究室へ入学しました。SPHは広く門戸を開いており、医療系が大半を占めつつも、非医療系の声にも耳を傾け、受け入れてくれるような環境で、SPHでの二年間は短くも有意義な日々でした。
 SPHでは、先生方の専門性の高い授業に加えて、在学中に様々な実践機会が用意されており、SPHが参加するスーパーグローバル大学創成支援事業を利用したLondon School of Hygiene & Tropical Medicineでの滞在や、グローバル生存学大学院連携プログラム(GSS)におけるフィールドトリップ、ハーバード公衆衛生大学院プログラムへの参加など、学んだ知識を応用できる場に数多く参加できた点も自分の研究を磨き上げていく上で非常に意義深いものでした。
 入学を悩んでいる非医療系のみなさん。医療従事者がほとんどを占めるような環境に飛び込むことは無謀で、困難なことだと思われているかもしれませんが、こんなにも学びの場が用意されているところはSPHをおいて他にないと思います。むしろ、新しい視点を持ち込む勢いで、SPHに学びに来てはいかがでしょうか。

 

中山真子(薬剤疫学)

中山 真子
薬剤疫学分野

 医療機器の薬事申請と翻訳に従事していた私は、薬事制度や医療に関する知識の底上げと課題探求の必要性を痛感していました。オープンキャンパスをきっかけに、京都大学SPHで自己のレベルアップを目指し、よりよい医療の実現に貢献したいという強い思いが芽生えました。文系出身で、高いハードルを感じながらの入学でした。しかし、バックグラウンドや年齢に関わらず志の高い学生仲間に恵まれ、第一線で活躍されている教員陣による専門的かつ丁寧で多岐に渡る講義を受講でき、不安はすぐに解消されました。
 京都大学SPHでは、日本では他で系統的に学ぶことがなかなか難しい医薬品、医療機器の行政、規制、薬事、開発に関する講義・実習も開講されており、このような実践的で知的刺激に溢れた講義・実習が他にも充実しています。さらに、特色のある各分野で多彩な研究活動が可能であることも大きな魅力の一つです。私は、念願だった薬剤疫学分野に所属が叶い、先生方の熱心なご指導のもと、医療機器の薬事制度に関する漠然とした疑問を研究可能なデザインとして研究実施できました。
 予想よりも充実した学生生活や人との出会いは、キャリアアップに通じるだけでなく、今後の人生の道標となると確信しています。
 京都大学SPHで、医療や健康に関する疑問を紐解くために学びと研究の旅に出てみませんか。

刺激的で濃密な1年でした

堤-育代(医療経済学)

堤 育代
医療経済学分野

 私は地方病院の血液内科医師として10年余り診療に携わってきました。研修医の頃は論文がなんとなく読めていればそれでよく、研究というものを深く意識していませんでしたが、医師としての年数を重ねるにつれ様々な臨床疑問が出てくるようになり、自分には疑問を解決できるような研究をする能力も、研究の成果を正しく読み取る能力も足りないと気づくようになりました。そんな時に出会ったのが京大SPHです。仕事を辞めるのは難しかったため、休職で対応可能な1年間のMCRコースは本当に有り難かったです。
 SPHの講義や実習ではさまざまな分野の基礎知識と実践的な内容を広く教えて頂きました。教えて頂いた事ひとつひとつがどれも新鮮で驚きに満ちたものでした。大学卒業から年数も経っており、長時間の授業に集中できるかと心配もありましたが杞憂でした。また、所属している医療経済学分野の教室はいつも活気があり、研究に悩んだときや疑問が生じた時には、教官の先生方や院生の皆さんが優しく相談に乗って下さいました。様々なバックグラウンドの同期たちとの学習も刺激になりました。卒業後は後期博士課程に進学し、引き続き学んでいきたいと思います。

■医学博士課程

モヤモヤの向こうに

田近-亜蘭(健康増進・行動学)

田近 亜蘭
健康増進・行動学分野

 漠然と何かを調べようとして、とりあえずデータをとってみた経験、あるいは学会発表のノルマのために有意差のあったものを探して、したり顔で発表したという経験はありませんか?私は精神科医として大学病院に勤務する中で、こういったやり方にモヤモヤしたものを感じながらも、だからといって、どこがどう問題なのかを論理的に説明できないままに暮らしていました。しかし、このモヤモヤは臨床経験とともに次第に大きくなっていきます。そして、それがどうしようもなくなった時に京大SPHのことを知り、思い切って入学しました。
SPHでは公衆衛生に関係する様々な分野の系統的な講義があり、大学生の頃以来の久しぶりのレポート・発表三昧です。その中で研究の方法論の王道を学べます。下手な方法に基づく研究は砂上の楼閣であり、そうならないためにはどうしたらいいかを自分の頭で考えられるようになります。そしてモヤモヤが晴れると、意外に世界はすぐそこにあることに気づくはずです。
京都での学生生活はとても楽しく充実しています。ロケーションは完璧です。長い人生のほんの数年、思い切って学生に戻ることをお勧めします。そこからの人生、変わると思いますよ。

 

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富成 伸次郎
健康情報学分野

 私は医学部を卒業して10年近く総合診療や感染症の臨床に携わった後に、臨床研究の手法について学びたく社会健康医学系専攻に入学したのですが、大学院では入学前に想像していたのを遥かに超える学びがありました。研究の手法について講義などを通じ知識を身につけることが出来るのはもちろんですが、大学院に身を置くことで自然と各分野の最先端の情報に触れることが出来ましたし、大きなプロジェクトの実務を経験させて頂き複数のプレイヤーで共同しながら研究を進める為に大切なことを学ぶことも出来ました。また私が所属した健康情報学分野では特に、医療系に限らず様々な職種の方が在籍しておられたため、病院に勤めていたのでは得られないような色々な視点からの意見を頂けたことは非常に有意義でした。これらの経験と教員の先生方や同級生の方々に支えられたことで、在籍中に自分の能力以上の研究を形にすることができたように思います。臨床研究を学ぶことに興味のあるかたは、ぜひ社会健康医学系専攻に入学しこの恵まれた環境に身を置くことをお勧め致します。