京都大学 大学院医学研究科 社会健康医学系専攻

2010年度の卒業生の声

■専門職学位課程

千里の道も

飯島 弘章
医療統計学分野

社会健康医学系専攻(以下SPH)に入学してから、様々な分野の授業を受け、本当に沢山のことを学びました。好きでもなかった分野がなぜか好きになったり、人は色々なものを見ることで気づくことがあるもんだと改めて実感されられました。SPHは授業数が多く、自分の研究に割ける時間には限りがあります。私の所属していました佐藤俊哉先生ひきいる医療統計学教室では、研究テーマは自分で興味をもてることを探しそれを研究するというポリシーがあります。そんなの当然じゃないかと思いながらも実際にやってみると、興味のある研究テーマを見つけることの難しさを突きつけられることになりました。考えてはダメだしの繰り返し、ゴールなき道の旅を経験したことのなかった私には、それはそれは大変なことでした。しかし、そんな長い道も一歩を踏み出すきっかけがあれば誰でも踏み出せるといまは確信しています。社会健康医学系専攻はそのような一歩を踏み出すきっかけを与えてくれる数少ない大学院です。そのようなGreat Journey に挑戦したい人は是非SPHの扉を叩いてみてください。

京都で経験した貴重な時間を振り返って

木戸 亮
臨床情報疫学:指導分野 医療疫学

臨床研究をより深く学びたいという思いで、この社会健康医学系専攻に入学しました。周囲には学ぶ意識が高く目的が明確な同期の学生の皆さん、そしてそれに答えるだけの真剣な授業を展開される各分野の先生方。わずか入学1週間で、これまで私がいたどの環境よりも学びに優れていると感じました。その実感は卒業に至るまでの間、変わることはありませんでした。これほど身を置くことが望ましいと感じられる理想的な環境は、そうあるものではないと思います。
計画的かつ系統的な授業から得られたものは甚大であったと感じます。授業だけではなく、これまで様々なキャリアを積まれてきた同期の皆さんの話は非常に新鮮で興味深く、お互いの語らいの中から学んだ事も多々ありました。入学の4月から急速に成長していく同期を身近に感じながら、日々刺激を受け、学ぶ意欲が高まったことを思い出します。所属分野の先生方からいただいた懇切丁寧なご指導も、私自身の大きな力となったと感じています。
学生生活は集中的に忙しい時期もあれば、自由に使える時間も多くあります。学習に、そしてせっかくの京都を満喫するのもよいでしょう。学ぶ意欲と目的があるのなら、迷わず社会健康医学系専攻の門を叩いてみることをお薦めします。きっと、授業をご担当いただいた全ての先生方、全てのSPH、そして京都大学に感謝してやまない時間を過ごすことが出来ると思います。

久保田 聡
医療経済学

地元のみんなが頼りにしている自治体病院の赤字を知り、私の人生は大きく変わりました。「この赤字を何とかしなければ」そんな思いひとつで大学院へ来たことを今も覚えています。難しい医療の問題に立ち向かうのは容易ではありません。医療のことを何も知らない私は、まず医療を知り、医療の問題を考えようと思い進学の道を選びました。大学院では、先生をはじめ、友人、教室の仲間から多くのことを学びました。大学院では医療に関する知識はもちろん、研究の方法、問題解決のための思考など多くのものを得ましたが、素晴らしい仲間を得られたことは本当に幸せで感謝しています。この社会健康医学系専攻には医療を良くしたいという共通の強い思いを持った人が集まっています。バックグラウンドも多様で、現場で働く医療従事者から私のような社会科学系出身の社会人経験のない者まで幅広いです。医療を良くしたいという思いを持った人がたくさん集まり、様々な視点から議論できる環境があります。2年間の本専攻での学びの期間は終わってしまいましたが、私は今も本専攻の仲間と議論したり、いろいろなことを教えてもらっています。医療を良くしたいという強い思いがある方はもう仲間です、是非来てください!

北山 敏和
健康情報学

社会健康医学専攻の学生の中で、私はたぶん少数派である。というのは、まず入学したのが58歳、だから修了時は60歳、社会人経験者の多いこのコースの中でもずば抜けて高齢に当たる。そしてもう一つ、早期退職して入学する前の最後の職業が小学校教員だったこと。ただし、それらのことが障害になるわけでもなく、ごく普通にみんなとともに勉強や研究ができるところがおもしろい。
また、社会健康医学の領域は、京都の町が古いものと新しいもの、賑わいと自然、そして宗教と日常生活が混在しているのと同様に、多様な分野で構成され、一見つかみ所がないようにも思えるが、これまた京都の町が東も西も見通せる絶好の位置にあるように、Public health全体を見渡し、どのような要素でこれが成り立っているか、そして、どうすれば自分の専門性が社会全体の健康に寄与できるかを確認する視座を与えてくれる。もちろん確認した後の行動が大事なのだが、それはその人の体力?と意欲次第。Health for allに賛同するあなたなら、きっと学んで損はしない。私でさえ楽しむことができたのだから。

池澤 友彦
医学コミュニケーション学

私は研究と臨床、社会の橋渡しをする人になりたいと希望していました。そうして働くなか、社会健康医学系専攻の岩隈先生の教室を知り入学しました。社会人入学だったため、まわりはどんな学生なのだろうと不安でしたが、一言に学生といっても学部生だった方や働きながら通学する方、文系専攻だった方等バックグラウンドは様々でした。講義のディスカッションや授業後の交流で、違うバックグランドの方から聞く意見や経験は新鮮でした。この多様性が社会健康医学系専攻の良さだと今振り返って思います。専門職学位課程の2年間はあっという間でしたが、課程の前半は社会健康の各分野の先生方からみっちりと基礎を学ぶ講義だけではなく、医療機関や製薬会社、検疫所などフィールドに出ての学習もあり、過酷でもあり刺激的な毎日でした。また、これまで自分がよく知らなかった質的研究やウェット研究、コホート研究といった様々な研究手法を指導していただけました。後半では研究に入るのですが、研究の意義とは、妥当性とは、等これまで学んだことから、客観的に判断しながらじっくりと研究に取り組むことができました。修了生それぞれの着地点は様々ですが、専攻で得た社会健康の知識や視点を生かして活動していきたいです。

■博士後期課程

Jason Lee Wei Ming
医療経済学

After obtaining my Master’s degree in Microbiology, I decided to shift from experimental science and enter Public Health research, with a focus on infection control. Kyoto University’s strong history in research appealed to me, and I entered the School of Public Health’s (SPH) Doctoral program in 2007, under the supervision of Professor Imanaka in the Department of Healthcare Economics and Quality Management. The SPH consists of academic staff and students from a widely-varied background, with course-mates hailing from fields as diverse as economics and engineering. This provides an invaluable resource of experiences from which to learn.
Along with regular seminars with invited speakers from the healthcare industry and government, the SPH focuses on research with practical applications, thereby ensuring that its students are trained for conducting research with real-world relevance. Researching in a foreign language is never a simple task, but the people around me were always accommodating to my language limitations, resulting in effective communication with my course-mates and the academic staff. I have no doubt that the skills obtained here will serve me well in my future research.

北村 哲久
予防医療学

初期臨床研修医を終了後、予防医療学分野で3年間お世話になっておりました。私の研修先が救命救急センターを併設した病院であったため、救急医療に興味を持ち、その臨床研究をするべく予防医療学の川村先生の門を叩きました。救急の現場では、突然倒れ、救急搬送された人たちがなすべくもなく、亡くなられていくことが多いのが実情です。予防医療学と救急医学は遠いようにも思えますが、突然心停止になるのをどのように防ぐか?、倒れたとしてもどうすれば助けられるのか?、を考えるためには、予防医療学的な観点はとても重要です。
研究室には、様々なキャリアを持った学生が集まり、自分の経験を生かした多くの研究に取り組んでいます。自分の専門分野だけでなく、周りの教官や学生とディスカッションを繰り返すことで研究の幅を広げ、自分の研究をより良いものにしていくことが出来ます。予防医療学教室はそれが可能な場であると思います。研究を発案し、プロトコールを作成し、研究を遂行し、結果をまとめ、論文にすることは、簡単に出来ることではありません。当教室で得られる知識・経験は、それらを自力で達成できるようになるための良い修行の場になるはずです。